1日1冊レビューし太郎

おススメの本ご紹介します。本の紹介を通して、自分の人生観や経験などをお話しします。日本の大学を卒業後、ALLEX Programに参加するために渡米。Missouri州のWashington大学、NY州のUnion大学、そしてHarvard大学で日本語教員として働きました。このブログでは、おススメの本の紹介を通して、自分の人生観や経験を語りたいです。あなたの悩みを解決させてください!いつでも相談に乗ります(^O^)

オルテガ『大衆の反逆』 2019年2月 (100分 de 名著)

今日ご紹介する本はこちら。

NHKの100de名著シリーズは大学時代から愛読しています。日本に帰国して久しぶりに購入しました。大学時代の恩師からの勧めでこの本と出会いましたが、非常に考えさせられる内容でした。

 

オルテガはスペインを代表する哲学者ですが、本書と出会うまで彼のことを知りませんでした。お恥ずかしいですが、正直知らないことばかり。勉強不足であることを痛感します。ただ、毎日新しい学びがある喜びを同時に感じております。

 

目次

①専門家は間違える

専門家はどうして間違うのか。それは、「専門を知らないから」ではありません。「専門しか知らないから」とあります。この思想を持つオルテガは、研究の世界だけにこもらず、新聞などに時評を発表し続けました。

 

人間という生き物は非常に複雑でややこしい存在で、その人間によって構成されている社会も当然複雑でややこしい。それを理解するためには、様々な角度から物事を見て、考えることが必要だと考えたんでしょう。

②「私は、私と私の環境である」

この言葉は私の心に特に響きました。私は、私だけじゃないんだ。私と私の環境によって、「私」が作られる。環境というのは、周りの人間だったり、生まれ育った環境だったり、自分の親もそうでしょう。その親も私が”選択”したものではありません。私たちが話す日本語だって、自ら話そうと選択したわけではないのですよね。

 

だから、私の本質は、そのほとんどが、私が選んだものではないということ。この言葉を聞いて、だからこそ、私は私だけじゃ成り立たないからこそ、周りへの、すべてに対する”感謝”が大切なんだと強く感じました。

 

お米だって、一から育てて収穫する農家の方々、収穫したお米をお店まで運んでくれる方々、お店で商品を売ってくれる方々など、お米一粒には多くの人の手が関わっている。だからこそ、おいしいご飯を食べて今日も一日頑張ることができる。そう感じることで、それだけで幸せな気持ちになるんです。

 

もちろん世界中には十分な食事をとれない貧しい人々がいます。僕たちはある意味、彼ら彼女らを”無視”して、幸せに生活しているわけです。そのことに罪悪感を感じて生きるべきではないですが、その事実を心のどこかに置いておいてもいいのではないでしょうか。その気持ちを持つことで、普段の行動が変わってくるんじゃないかと思ったんです。

③人は後ろ向きに未来へ入っていく

この言葉が何を意味しているのか、本書を読むことで明確に理解することができます。「後ろ」とは何のことだと思いますか?おそらく察しが付くと思うのですが、ここで明言するのは避けたいと思います。

 

この本を実際に手に取らないにしても、この言葉の意味を”自分自身”で考えることに楽しみだったり、味わいがあったりすると思うんです。本を紹介すると言っておきながら、何隠し事しているんだと思われるかもしれませんが、これが僕のスタイルです。笑 

 

本書では、フランスの詩人ポール・ヴァレリー「湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来へ入っていく」という一節が紹介されています。どの時代を生きていく人にとっても、とても大事な考え方だと思いました。ちなみに『精神の政治学』の中では、「我々は未来に後退りして進んでいく」とも言われていました。

 

さて、いかがでしたでしょうか。今回は100分de名著の「大衆の反逆」(オルテガを紹介いたしました。このシリーズは非常におすすめです。これまでに、ルソーの「エミール」やアインシュタインの「相対性理論などを読みましたが、今後の投稿でもいつか紹介できたらなと思います。それではまた明日。